【命を守る】「竜巻」のナゾ
きょうは竜巻がなぜ発生するのか、そのナゾに迫ります。
5月30日、北海道帯広市内で発生した竜巻。
低く垂れ込めた雲から一部が地上にまで伸び、よく見ると布状のものが旋回していることも確認できました。
(目撃者)「雲が渦巻きだしたんだ最初。そのうち土煙が巻きだした」
帯広市によると、けが人はいなかったものの、農業資材が飛ばされたり、農作物に影響が出た畑もありました。
(被害に遭った農家)「根こそぎ作物が巻き上げられて飛ばされたっていうことですね。この辺とかは全部そうです」
当時調査を行った帯広測候所の予報官に、竜巻が発生した状況を伺いました。
(帯広測候所 吉田正博 統括予報官)「竜巻が発生した時の天気図を持ってきています。オホーツク海と千島近海のところに低気圧がありまして、北海道付近は低気圧を含み、気圧の谷の中にあったんですが、上空約5500メートル付近には、平年より6℃くらい低いマイナス23℃くらいの寒気が流入していて、地上付近の最高気温も帯広空港付近でみると19℃くらいと平年並みなので、上空の寒気が強い分、大気の状態が非常に不安定になったという場の中でした」
『なぜ竜巻が発生した?』
では、大気不安定のなかなぜ竜巻が発生するのでしょうか。
ひとつの要因が強い上昇気流です。
(帯広測候所 吉田正博 統括予報官)「大気の状態が不安定というのも、例えば上空に冷たい空気が入っていますので、冷たい空気というのは重い。暖かい空気というのは軽いんですよ。冷たい空気は下がりたがるし、暖かい空気は上りたくなるので」
地上と上空との気温差が大きくなると大気の状態が不安定に。
すると暖かい空気が上空にのぼって雲が発生します。
さらに、地上の暖かい空気が次から次へと上昇したため、発達した積乱雲に。
積乱雲に向かって吹き込んでいる空気の流れ、つまり強い上昇気流が渦をもたらし竜巻が発生したんです。
「近づかないでください!遠くに離れてください!」
ところで竜巻といえば…
校庭に現れた渦巻きのような現象。
見たことがある人も多いのではないでしょうか。
『運動会でよく見る“あの渦”は?』
実はこの渦巻きー
テントに置いていた段ボールやビニール製の小道具を巻き上げるほどの威力がありますが、竜巻ではないんです。
ではどういう現象なのか、竜巻などに詳しい気象予報士の斎藤さんに聞きました。
(宮永キャスター)「この時期、運動会などで特にグラウンドで渦巻き状のものがあるんですが、あれは竜巻ではないんですか?」
(気象予報士 斎藤緩さん) 「あれは専門用語ですと、じん旋風。一般的にはつむじ風と呼ばれています。つむじ風はよく晴れた日に地面が急激に暖められて空気が上昇した結果、つくられるものなんです」
この現象は竜巻と同じように上昇気流が発生しますが「つむじ風」と呼ばれるものなんです。
6月1日、帯広の隣・幕別町のようすです。
多くの人から「竜巻では?」と問い合わせがありました。
しかし、上空には青空が広がっていて積乱雲がありません。
これが竜巻との違いになっているんです。
つまり、天気が晴れていれば「つむじ風」。
積乱雲が出ていれば「竜巻」と区別することができます。
そもそものメカニズムが違うんですね。
「竜巻」と「つむじ風」。
どちらも同じ渦巻きでしたが、天気の違いがあったんですね。
また「竜巻」のほうが積乱雲を伴っているので強い渦巻きになり、風速が強いという特徴があるんです。
そして、この「竜巻」には十分に注意する必要があります。
同じ上昇気流で渦を巻きながら発生する「竜巻」と「つむじ風」ですが…
だいぶ違ったものなんです。
『同じ渦巻き 危険性は?』
(宮永キャスター)「つむじ風と竜巻はどれくらい強さや威力は違うのでしょうか」
(気象予報士 斎藤緩さん)「つむじ風ですと、強いものでも風速は20mくらい。竜巻の場合は弱いものでも20mくらいなんです。強いものですと、家が壊れてしまうくらいの非常に強い風が吹きます」
道内で起きた「竜巻」被害。
2006年オホーツクの佐呂間町で起きたものは大変な被害が出ました。
家や建物、車を次々となぎ倒し、市街地を切り裂くような痕跡が残されていました。
9人が犠牲となり、建物の被害も100棟以上にのぼりました。
全国的に見ても最も大きな被害が出た竜巻が北海道で起こったんです。
一例ですが、過去には2006年に宮崎県で、2012年には茨城県で竜巻が発生しています。
宮崎県では列車が横転するくらいの竜巻の威力がありました。
実は竜巻はいつ発生するか、予測が非常に難しいといわれているんです。
そこで覚えていただきたいのが「竜巻注意情報」という気象情報です。
いったい、どのような情報なのでしょうか。
「十勝地方に竜巻注意情報が発表されました」
5月30日のどさんこワイド。
番組冒頭から「竜巻注意情報」の発表をお伝えしました。
実は竜巻注意情報が発表される前に注意したい情報というものがあります。
それは「雷注意報」です。
『竜巻の前に雷?』
(宮永キャスター)「雷注意報というのがありますね、これとはどう違うんですか?」
(気象予報士 斎藤緩さん)「雷注意報の中でも、竜巻等の激しい突風に注意と呼びかけられます。これは実際に竜巻などの突風が発生する数時間前から発表されます。(雷注意報は)前もって出される情報ということになります」
竜巻のときにできる積乱雲。
実は、この雲の中にたまっているのが電気で、いわゆる“静電気”のような現象が起きているんです。
これが「雷」になるため、雷注意報には注意が必要なんです。
(気象予報士 斎藤緩さん)「竜巻注意情報は本当に直前、あるいは発生が目撃されたときに出されますので」
そして、気象庁が情報を発表するタイミングですが「雷注意報」が数時間前。
「竜巻注意情報」は0~1時間前で、まさに「竜巻」が起きやすいタイミングで発表される情報なんです。
しかし、先月30日は竜巻注意情報が発表されたのは午後3時38分。
竜巻が目撃されたのは午後3時20分ごろ。
「竜巻注意情報」が発表される前に竜巻が起きていました。
ということで、竜巻は予測がとても難しい現象でもあるんです。
『竜巻の兆候は?』
(宮永キャスター)「空の様子とか風の様子で、これは竜巻がひょっとすると来るなという兆候みたいなのは何かありますか?」
(気象予報士 斎藤緩さん) 「1つは、発達した積乱雲が近づいてきている。真っ黒い雲が近づいてきて、雷の音が聞こえて、急に冷たい風が吹き出したりしたら、竜巻の発生が近い可能性があります」
そして「竜巻注意情報」は警報級の情報のため、発表されたらすぐに避難を始める必要があります。
ただ、それより前に「雷注意報」を含む竜巻の兆候をとらえて備えておくことも大切なんです。
避難はやはり頑丈な建物の中が安全ですが、その中でも1階が一番安全だということです。
竜巻の場合、建物が大丈夫でも屋根が飛ばされる危険性があります。
なので、下の階が安全になってくるんですね。
というわけで竜巻のナゾですが「強い上昇気流で発生するもので、非常に予測が難しい」ということになります。
大気の状態が不安定になることはこれからも良く発生します。
予測が難しいからこそ、私たちもしっかりと確認しておく必要があります。
5月30日、北海道帯広市内で発生した竜巻。
低く垂れ込めた雲から一部が地上にまで伸び、よく見ると布状のものが旋回していることも確認できました。
(目撃者)「雲が渦巻きだしたんだ最初。そのうち土煙が巻きだした」
帯広市によると、けが人はいなかったものの、農業資材が飛ばされたり、農作物に影響が出た畑もありました。
(被害に遭った農家)「根こそぎ作物が巻き上げられて飛ばされたっていうことですね。この辺とかは全部そうです」
当時調査を行った帯広測候所の予報官に、竜巻が発生した状況を伺いました。
(帯広測候所 吉田正博 統括予報官)「竜巻が発生した時の天気図を持ってきています。オホーツク海と千島近海のところに低気圧がありまして、北海道付近は低気圧を含み、気圧の谷の中にあったんですが、上空約5500メートル付近には、平年より6℃くらい低いマイナス23℃くらいの寒気が流入していて、地上付近の最高気温も帯広空港付近でみると19℃くらいと平年並みなので、上空の寒気が強い分、大気の状態が非常に不安定になったという場の中でした」
『なぜ竜巻が発生した?』
では、大気不安定のなかなぜ竜巻が発生するのでしょうか。
ひとつの要因が強い上昇気流です。
(帯広測候所 吉田正博 統括予報官)「大気の状態が不安定というのも、例えば上空に冷たい空気が入っていますので、冷たい空気というのは重い。暖かい空気というのは軽いんですよ。冷たい空気は下がりたがるし、暖かい空気は上りたくなるので」
地上と上空との気温差が大きくなると大気の状態が不安定に。
すると暖かい空気が上空にのぼって雲が発生します。
さらに、地上の暖かい空気が次から次へと上昇したため、発達した積乱雲に。
積乱雲に向かって吹き込んでいる空気の流れ、つまり強い上昇気流が渦をもたらし竜巻が発生したんです。
「近づかないでください!遠くに離れてください!」
ところで竜巻といえば…
校庭に現れた渦巻きのような現象。
見たことがある人も多いのではないでしょうか。
『運動会でよく見る“あの渦”は?』
実はこの渦巻きー
テントに置いていた段ボールやビニール製の小道具を巻き上げるほどの威力がありますが、竜巻ではないんです。
ではどういう現象なのか、竜巻などに詳しい気象予報士の斎藤さんに聞きました。
(宮永キャスター)「この時期、運動会などで特にグラウンドで渦巻き状のものがあるんですが、あれは竜巻ではないんですか?」
(気象予報士 斎藤緩さん) 「あれは専門用語ですと、じん旋風。一般的にはつむじ風と呼ばれています。つむじ風はよく晴れた日に地面が急激に暖められて空気が上昇した結果、つくられるものなんです」
この現象は竜巻と同じように上昇気流が発生しますが「つむじ風」と呼ばれるものなんです。
6月1日、帯広の隣・幕別町のようすです。
多くの人から「竜巻では?」と問い合わせがありました。
しかし、上空には青空が広がっていて積乱雲がありません。
これが竜巻との違いになっているんです。
つまり、天気が晴れていれば「つむじ風」。
積乱雲が出ていれば「竜巻」と区別することができます。
そもそものメカニズムが違うんですね。
「竜巻」と「つむじ風」。
どちらも同じ渦巻きでしたが、天気の違いがあったんですね。
また「竜巻」のほうが積乱雲を伴っているので強い渦巻きになり、風速が強いという特徴があるんです。
そして、この「竜巻」には十分に注意する必要があります。
同じ上昇気流で渦を巻きながら発生する「竜巻」と「つむじ風」ですが…
だいぶ違ったものなんです。
『同じ渦巻き 危険性は?』
(宮永キャスター)「つむじ風と竜巻はどれくらい強さや威力は違うのでしょうか」
(気象予報士 斎藤緩さん)「つむじ風ですと、強いものでも風速は20mくらい。竜巻の場合は弱いものでも20mくらいなんです。強いものですと、家が壊れてしまうくらいの非常に強い風が吹きます」
道内で起きた「竜巻」被害。
2006年オホーツクの佐呂間町で起きたものは大変な被害が出ました。
家や建物、車を次々となぎ倒し、市街地を切り裂くような痕跡が残されていました。
9人が犠牲となり、建物の被害も100棟以上にのぼりました。
全国的に見ても最も大きな被害が出た竜巻が北海道で起こったんです。
一例ですが、過去には2006年に宮崎県で、2012年には茨城県で竜巻が発生しています。
宮崎県では列車が横転するくらいの竜巻の威力がありました。
実は竜巻はいつ発生するか、予測が非常に難しいといわれているんです。
そこで覚えていただきたいのが「竜巻注意情報」という気象情報です。
いったい、どのような情報なのでしょうか。
「十勝地方に竜巻注意情報が発表されました」
5月30日のどさんこワイド。
番組冒頭から「竜巻注意情報」の発表をお伝えしました。
実は竜巻注意情報が発表される前に注意したい情報というものがあります。
それは「雷注意報」です。
『竜巻の前に雷?』
(宮永キャスター)「雷注意報というのがありますね、これとはどう違うんですか?」
(気象予報士 斎藤緩さん)「雷注意報の中でも、竜巻等の激しい突風に注意と呼びかけられます。これは実際に竜巻などの突風が発生する数時間前から発表されます。(雷注意報は)前もって出される情報ということになります」
竜巻のときにできる積乱雲。
実は、この雲の中にたまっているのが電気で、いわゆる“静電気”のような現象が起きているんです。
これが「雷」になるため、雷注意報には注意が必要なんです。
(気象予報士 斎藤緩さん)「竜巻注意情報は本当に直前、あるいは発生が目撃されたときに出されますので」
そして、気象庁が情報を発表するタイミングですが「雷注意報」が数時間前。
「竜巻注意情報」は0~1時間前で、まさに「竜巻」が起きやすいタイミングで発表される情報なんです。
しかし、先月30日は竜巻注意情報が発表されたのは午後3時38分。
竜巻が目撃されたのは午後3時20分ごろ。
「竜巻注意情報」が発表される前に竜巻が起きていました。
ということで、竜巻は予測がとても難しい現象でもあるんです。
『竜巻の兆候は?』
(宮永キャスター)「空の様子とか風の様子で、これは竜巻がひょっとすると来るなという兆候みたいなのは何かありますか?」
(気象予報士 斎藤緩さん) 「1つは、発達した積乱雲が近づいてきている。真っ黒い雲が近づいてきて、雷の音が聞こえて、急に冷たい風が吹き出したりしたら、竜巻の発生が近い可能性があります」
そして「竜巻注意情報」は警報級の情報のため、発表されたらすぐに避難を始める必要があります。
ただ、それより前に「雷注意報」を含む竜巻の兆候をとらえて備えておくことも大切なんです。
避難はやはり頑丈な建物の中が安全ですが、その中でも1階が一番安全だということです。
竜巻の場合、建物が大丈夫でも屋根が飛ばされる危険性があります。
なので、下の階が安全になってくるんですね。
というわけで竜巻のナゾですが「強い上昇気流で発生するもので、非常に予測が難しい」ということになります。
大気の状態が不安定になることはこれからも良く発生します。
予測が難しいからこそ、私たちもしっかりと確認しておく必要があります。
「STVニュース」
6/15(木)12:41更新